逆流性食道炎、薬を使わず無理なく治すお勧め情報
◆胸やけで苦しむ62歳の僕
先日、NHKの『きょうの健康 すっきり解消!
胃の悩み「胸やけ」(2022年11月16日放送)』という
番組をたまたま観たのですが、ストンと腹に落ちて、
番組のお勧め方法を実践。
これまでにないほどの快適さを取り戻しつつあります。
◆「NHKきょうの健康」と胃の悩み
日本には、胸やけで悩む人が大勢おられるはず。
なんとかこの学びを伝えたい…。
そんな思いで、この15分の短い番組を、スタートから
終わりまで、だれが読んでも分かるようにかみ砕いて紹介
していきます。
内容にまつわることで、僕が体験したり、学んだこと、
日常的にできる対策などを交えて、十数回程度に分けて
書いていきます。
よろしければ、どうぞお付き合いください。
◆生活変えて『胸やけ』にさよなら
この番組で伝えられたのは、カンタンに言うと、
「胸やけは逆流性食道炎が原因かも。
それは生活習慣を少し変えることで改善する可能性が
ありますよ」…ということです。
胸やけ、そして逆流性食道炎…僕は、まだ夜中に胸が熱く
なるような嫌な気持ちがときどきする程度ですが、知り合いに
聞くと、毎晩眠れないくらいにしんどい…とのこと。
文献を調べると、薬物療法や、場合によっては手術をして
快復をめざす、という方法もあるそうです。
しかし、薬は副作用が怖いし、手術はなるべく避けたいという
思いが強いのが正直なところ。
そんな方には、ぜひちょっとした生活の工夫をすることで、
快復をめざしてほしいと思うのです。
番組で勧められた方法は、「姿勢」「食事」「体操」という、
本当に簡単で、身体にやさしいものばかりです。
そして、番組冒頭で「豊かな人生の処方箋」として
伝えられたのは、“生活変えて「胸やけ」にさよなら”…。
◆「新しい国民病」
番組で話をされるのは、川西市立総合医療センター総長の
三輪洋人先生という方。
この年配の先生は、ご自身も胸やけで苦しまれたということで、
さすがに説得力があります。
その先生が、初めに言われたのが「日本人の6人に
1人は逆流性食道炎である」ということ。
これは驚くべき数字です。
人数でいうと、およそ2,000万人の人が患っている、
ということになります。
三輪先生の話では、食生活の変化から逆流性食道炎が
増加している、ということでしたが、やはり
「肉食化が進んだこと」「服装など洋風生活スタイルへの変化」
ということが原因として挙げられるでしょう
(逆流性食道炎の”先進国”であるアメリカでは、
重度の患者が非常に多いとのこと)。
ほかにも、猫背、高齢化なども原因になっているといえます。
そう考えると、高齢社会である日本では、
ますます患者数が
増加すると予想されます。
三大疾病である「がん・心疾患・脳血管疾患」はもちろん
注目されますが、罹患者数の多さと、今後の加速予測から
いって、逆流性食道炎はもはや「新しい国民病」として認識
することが必要なようです。
◆胸やけ、逆流性食道炎はどうして起こるのか?
まずは、胸やけのメカニズムです。
これは症状に苦しんで調べた方ならみなさんご存知かと
思いますが、一応確認しておきます。
最短でまとめると、「胸やけは、本来上昇してこない
はずの胃酸が、胃の入り口にある弁を突破して、食道まで
駆け上ってくることで痛みを感じる」ということになります。
番組のテキストでは、下記のように説明されています。
(正確を期すため、本文をそのまま記します)
「本来、胃の入り口は食べ物や胃液が食道に
逆流しないように閉じられていますが、
何らかの原因でこの入り口が緩むと、胃の中の胃酸や
食べたものが食道に逆流します。
胃の内部は粘液に覆われ、強い胃酸にも耐えられるように
なっていますが、食道はそのようにできていないため、
逆流した胃酸で食道の内壁が刺激されてジリジリと
胸が焼けるような灼熱感が生じます。
これが胸やけです。」
さらに説明は”逆流性食道炎”に進みます。
「胃酸によって食道の粘膜が頻繁に傷つくと、食道は
逆流性食道炎と呼ばれる状態になります。
代表的な症状には胸やけのほか、すっぱいものが食道に
上がってくる呑酸(どんさん)、胸の痛み、のどのつかえが
あります。
声がかすれたり、ぜんそくのような症状がでることも
あります。」
ふだんはしっかりと食道を守ってくれる
「入り口」の弁(筋肉)が、何らかの理由で弱ってしまうか、
胃酸が異常に多くなって
防ぎ切れなくなる、ということですね。
高齢者は筋力が弱くなることが多く見られますが、
胃の入り口の弁も筋肉ですから、弱ってしまうことも当然
考えられることになります。
◆早期発見のためのセルフチェック
上昇した胃酸にさらされた食道の粘膜が、
胃の粘膜のように変化してしまうと”食道がん”の
リスクが高まる、と同テキストでは指摘しています。
怖ろしい話です。
そうならないための、下記の8項目のセルフチェックが
示されます。
□胸やけがしますか?
□思わず手のひらで胸をこすってしまうことがありますか?
□食べたあと、ムカムカすることがありますか?
□のどの違和感(ヒリヒリなど)がありますか?
□ものをのみ込むと、つかえることがありますか?
□酸っぱい液体(胃酸)が上がってくることがありますか?
□げっぷがよく出ますか?
□前かがみの姿勢をとると、胃酸が上がってきますか?
それぞれ、ない(0点)、まれにある(1点)、
ときどきある(2点)、しばしばある(3点)、
いつもある(4点)の点数をつけ、
合計が6点以上だと逆流性食道炎の可能性が高いとされ、
医療機関の受診を勧めています。
5点の私は逆流性食道炎の予備軍といえます。
当然のことながら、まずは冷静に、今の状況を把握することが
重要になるでしょう。
ぜひやってみてください。
◆逆流性食道炎の意外な症状
逆流性食道炎の症状としては、胸の痛み(灼熱感)、
呑酸(胃液が胃から口へこみ上げてくることによって、
のどや口の中で酸味や苦味などを感じること)、
のどのつかえ、声のかすれ、ぜんそく、などがよく
知られているところですが、番組では意外な症状が
紹介されています。
それは、「中耳炎」と「歯の痛み」です。
胃の入り口にある弁が弱くなるか、
胃酸が多くなりすぎて、
胃酸が食道まで上昇してくることが
逆流性食道炎の原因ですが、
喉まで逆流してくると、耳と喉をつないでいる耳管に
触れて痛みがでるそうです。
耳の違和感や耳鳴りという症状になってあらわれてきます。
そのため、逆流性食道炎が耳鼻咽喉科で見つかることがある
とのことです。
同じように、歯科で逆流性食道炎を指摘されることが
あります。
口に逆流した酸が歯のエナメル質を溶かすということで、
虫歯と同じような痛みが生じることになります。
本当にいろいろなところに影響が出ることが、
あらためてわかります。
◆”腹八分に医者いらず”
「腹八分目」という言葉を最近あまり聞かなく
なった気がします。
テレビでは、大食いを競う番組が多くみられます。
いつからこの傾向があるのか不明ですが、
戦前戦後の乏しい食事からの反動がまだ続いているの
かもしれません。
それは、はたして幸せなのかどうなのか。
NHK『きょうの健康 すっきり解消!胃の悩み
「胸やけ」(2022年11月16日放送)』では、
逆流性食道炎になりやすい人として、胃酸過多、大食い、
高齢者、姿勢が悪い、肥満、ピロリ菌除菌後、を
挙げています。
高齢者で大食いというのはあまり聞かないので、
やはり若い人から中高年、ということになるでしょう。
ぴっちりと下半身を締める服装の影響もあるでしょう。
上から胃にたくさん入ってくる食べ物を、
下で締め付けて抑えると、当然ながら出口を失って上に
上がってくるしかありませんね。
「腹八分目」という言葉がいつから生まれたか
分かりませんが、調べてみると、江戸時代中期に
福岡藩の儒学者、貝原益軒によって書かれた
『養生訓』巻第三 飲食上 ではこのように書かれている
そうです。
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「食事の量が少ないと脾胃の中にゆとりができて、
元気がめぐりやすく、食物が消化しやすくて、
飲食したものがすべて身体の養分になる。
したがって病気になることが稀で、身体も強くなる。
多食し満腹にすると、元気のめぐるべき道をふさいで、
消化しない。
だから飲食したものが身体の養いにならない。
脾胃にとどこおって元気の道をふさぎ、循環しないで
病いになる。
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このような教えが、日本では長く大切にされてきたのでしょう。
戦後の西洋化は、こんな教えも遠いものとしてきたようです。
また、数千年の歴史があるインドのヨガの教義には、
このようなものがあるとか。
「腹八分目で医者いらず、腹六分目で老いを忘れる、
腹四分目で神にちかづく」
※ちなみに、「腹六分目」とは、” まだ余裕で食べられる ” という
お腹の状態だそうです。
◆”姿勢”を正す
逆流性食道炎になりやすい人の特徴として、
「胃酸過多、大食い、高齢者、姿勢が悪い、肥満、
ピロリ菌除菌後」が指摘されます。
このなかで、工夫次第で改善できるものとして、
前回は「大食い」を挙げました。
もうひとつ改善しやすいものとして、「姿勢」があります。
特に猫背は、胃に圧迫をかけることになり、
逆流性食道炎のきっかけになってしまうことが
多いようです。
高齢者には、背中が丸くなる「円背(えんぱい)」に
なる方が多いようですが、この状態では筋力の低下も
あわせて、知らないうちに逆流性食道炎を発症して
しまいます。
番組内では姿勢の矯正方法が紹介されます。
それは、とても簡単なもので、「壁に背中を付けて
立つ」ことと「片足立ちをする」の二つです。
どちらも、毎日30秒くらいすることで立ち姿勢を良くし、
胃酸の逆流を防ぐことにつながるという指摘です。
簡単なことほど、意識しないと続けられないので、
私は紙にでも書いて貼っておこうかと考えています。
◆努力ゼロの逆食対処法 ①
胸やけ、逆流性食道炎については、長く付き合っていく
症状だけに、通院のほか、日々の食事や運動、習慣などへの
細かい気づかいなど、大変な努力の継続が必要にも思えます。
しかし、「姿勢」ということに着目すると、”努力ゼロ”の
対処方法が考えられます。
それは、”寝ているとき” で、次の2点です。
①パンツを脱いで寝る
②背中を少し上げて寝る
この二つのことは、そうするだけで何の努力も要りません。
しかし、経験的にその効果が知られています。
①の「パンツを脱いで寝る」について
、『「脱パンツ」健康法』(祥伝社NONBOOK 写真)で
その理由や効果が説明されています。
平成3年発行と、少し古い書籍ですが、当時話題になった
ようで、今でも実践している人がいます。
考えてみると、現代人はゴム紐で24時間おなかを
締め付けて生活をしています。
このことが、ストレスや胃腸不良などのさまざまな
現代病につながっている、と同書では指摘しています。
確かに、コーラの瓶のように、身体の真ん中を締め付ける
ことが、口から入った食物の下への移動の障害になることは
当然のことに思えます。
数百万年に及ぶ人類の歴史の中で、ゴムでおなかを
締め付けている時代は、ほんのわずかでしかありません
(日本でゴム紐の生産は明治以降で、人類の歴史のなかで
0.003%。
ゴム紐発祥の地の碑が、石川県かほく市にあります)。
縄文時代の「貫頭衣」は、おなかはストレスフリー構造に
なっています。
同書では、夜中の間だけでも身体を解放してやれば
どうですか、太古の時代に戻ってはいかがですか、という
問いかけをしているのです。
この「パンツを脱いで寝る」という習慣を続けることで、
ストレスや身体の凝り、そして胃腸機能の劣化、
不眠症などの改善に効果がある、と示されています。
このブログで話題にしている、胸やけや逆流性食道炎の
改善にもつながることが大いに期待できます。
簡単なことですので、一度、試してみられるのも
よいかと思います。
◆努力ゼロの逆食対処法 ②
前章に引き続いて、努力の要らない逆流性食道炎についての
記事です。
前回は、「パンツを脱いで寝る」ということでしたが、そ
れに関連して、「ゆったりした服を着る」という
方法があります。
当たり前のことですが、服を着るのは人間だけです。
それも二足歩行のため、下半身の衣類が下に落ちないように、
腰のあたりで留めておく必要があります。
そのため、どうしてもゴムやベルト類でおなかを締め付ける
ことになります。
そのことが、逆流性食道炎を含めた現代病の発症の
引き金になっていないと否定することは難しいのでは
ないかと思います。
そう考えると、なるべくおなかを締め付けないような
服装を心がけることがよいと考えられます。
もちろんTPO次第ではありますが、状況が許されるときは、
なるべくゴムでおなか回りを締め付けないようにされては
どうでしょうか。
古代に使われていた、1枚の布を真ん中で切り抜き、
頭から被るかたちの「貫頭衣」。
これが現代でも緩やかなブームになっているようで、
貫頭衣をモチーフにしたデザインの着衣が増えてきています。
「貫頭衣」でネット検索されると、現代風にアレンジされた
「貫頭衣」がたくさん出てきます。
この現象は、人間の長い歴史の中で、少しでも自然に
返ろうとする表れである、という見方もできます。
地方に住んで農業をする人が増えてきていますが、
その流れも同様かもしれません。
※写真は、ミライズ株式会社の『ラクーイウエア』です。
◆努力ゼロの逆食対処法 ③
2つ目の対処法として、「背中を少し上げて寝る」と
いうことが挙げられます。
これは大変効果が期待でき、実際に背中を上げて
寝るためのマットを作って販売してきている当社にも、
アンケート調査で7割以上の方がその効果を答えてきて
くださっています。
※ミライズ株式会社ホームページ「お客様の声」を
ご参照ください。
上げる角度は、10度~15度くらいで、高さでいうとほんの
10数㎝程度です。
あまり高くなりすぎると、眠りにくくなる上に、
腰に痛みが出る方もあるようです。
高齢者の介護現場で気づかされることは多くあります。
背上げベッドを少し上げたままで終日過ごされる方が多い、
という事実もそのひとつです。
ギャッジアップベッドは、もともとは身体を起こす
ためのもので、80度程度まで上げることができますが、
それを少しだけ上げたままで過ごされる方が多いのです。
それも本人は気づかないままで、
水平なものと思っておられます。
もともと人間の骨格や構造上、水平に寝るということは
不自然なことではないか、思わされます。
身体の構造に合わせた寝方をすることが、
寝つきの良さや安眠、そして逆流性食道炎対策にも
効果があるのではないかと考えられます。
◆◆努力ゼロの逆食対処法 ④
前回は、背中を上げて寝るためのマット『ラクーイ』を
ご紹介しましたが、少しだけ追加説明をします。
『ラクーイ』には、10度と15度の2種類があります。
横幅や奥行は同じですが、角度が異なるので、高さに
違いがあります(10度は高さ14cm、15度は21cm)。
寝てみると分かりますが、10度の方はそれほど
違和感なく横になることができます。
それに対して15度の方は、若干角度を感じるかと思います。
逆流性食道炎の症状が軽い方は10度、重い方は15度という
選び方になるでしょう。
一般に「テレビ枕」と呼ばれる三角マットとの違いは
”大きさ” です。
テレビ枕が一人の人間が横になれる寸法であるのに対して、
ラクーイは布団やベッドでの使用を想定しているため、
寝具の横幅に合うように作られています。
また、ラクーイは一般のテレビ枕よりも、
クッションが少し硬めになっています。
これは、睡眠を前提としているため、
沈みすぎると眠りにくく、効果が減少してしまうことを
避けるためです。
症状に変動がある方には、『ラチェットラクーイ』という
姉妹品があります。
これは、ギアの調整で9度から23度まで14段階で
調整できるため、その日の状態に合わせて角度を決める
ことができます。大きさはほぼラクーイと同じです。
◆努力ゼロの逆食対処法 ⑤
番組では、さらに「寝方」のアドバイスが先生から
ありました。
それも実に簡単で、『左側を下にして寝る』
というものです。
右図のように、身体の中の胃の配置を考えると、
左側を下にして寝ると胃の入り口が上部になり、
より逆流しにくいというのです。
逆に胃もたれのある人はものを出したいので、
右側を下にして寝るとよいそうです。
ここでアナウンサーから意地悪な質問がありました。
「両方ある人はどうしたらいいんですか?」とのこと。
これには先生も少し詰まってから、
こう答えられました。
「そういう人は仰向けに寝るのがいいでしょう。
うつぶせ寝だけはしないようにしてください」と
いうことでした。
寝るときの身体の向きが大切とは、なかなか気づかない
ものです。とはいえ、夜中に無意識で寝返りを打ってしまう
ことはどうしようもないかもしれませんね。